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団体保険制度以外のQ&A
老健施設における人事・労務管理について

老健施設における人事・労務管理について

Q1
職員による時間外手当請求権の自主的返上
A1
職員による時間外手当の返上、請求権の放棄であり、民事上問題はないと考えられますが、以下の点に留意する必要があります。
1.時間外労働の程度(継続的かつ長時間の場合・問題が生じる恐れ)
2.返上の意思をあとになって変えることはないか(労使関係の悪化、解雇、退職など)
3.返上する人員(一部の職員か、全員か)
4.労働基準監督署の監督指導が行われたとき違法性を指摘されるおそれが多いと思われます。
以上をクリアーできるかどうかです。職員と十分話合いが必要ですが、私としては賛成しかねます。返上の申出の趣意が真意であれば、施設運営のことを考えた美しい話だとは思いますが。
Q2
1年契約のアルバイトが途中退職と年休取得を申出たときの付与方法
A2
従業員の年次有給休暇の行使を従業員の退職の意思表示のあった日以後とし、使い切った日を退職日とすることは現行の行政解釈では認められています。但しお尋ねの場合、契約はH.21.3.31までとされており、9月13日付の退職とすると期間途中であり違約です。その点について事業主としての追及は可能ですが、有給休暇取得を拒否することは困難です。
Q3
人材確保のための処遇、賃金上の課題
A3
社会福祉施設の人材確保問題は深刻でありお悩みのことと思います。社会福祉施設の現在の人材難はそもそも仕事と賃金のバランスがとれていないこと、そのため求人難や退職者の続出という事態が起きていると思われます。人件費アップの問題は今後の厚生労働省の政策の見直しに期待しなければなりませんが、各施設が個々に検討、努力を要することもあります。人材確保の対応策としては次のようなことが大切ではないでしょうか。
1.経営者の社会福祉施設経営の理念の表明
2.リーダーである管理職の部下への適切、親切な管理と指導
3.職場の人間関係が重視されているか。適切な業務分掌の有無
4.賃金、賞与、退職金制度の改善(いたずらに年功序列になっていないか、従業員の意欲を刺激する制度になっているか)
5.従業員の評価は納得される制度になっているか。
6.入職後、本人が希望した場合各種資格が取得され易い仕組みになっているか。
7.労働基準法の遵守など最低労働条件が確保されているか。
以上のことが必要な課題と思われますが、参考までに本年の労働白書から参考となる図表を別紙として添付しますのでご覧ください。いずれにせよ貴所の各部署の職員の意向を汲みとることが肝要でしょう。賃金、所与、退職金についても現状分析から始めてみて下さい。
(参考まで下記調査にリンクを貼っておりますのでご覧下さい)
従業員の意識と人材マネジメントの課題に関する調査【出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構】
Q4
法定内残業の割増賃金の支払い
A4
お尋ねの場合、1日の実働時間が7時間20分ですが、週休2日制の場合なら、1日の実働時間が8時間を超えない限り時間外割増賃金の支払いは不要です。
従って17時40分以降に同割増賃金を支払えばよいのです。但し17時から17時40分までの40分間は通常賃金の40分の支払が必要なことは云うまでもありません。1ヶ月、1年変形労働時間制の場合は1週の労働時間による時間外手当の計算式が別に定められています。
Q5
介護職員の手厚い処遇のための人事労務の方策
A5
限られた原資の中で介護職員の厚遇は困難な問題ですが、要は施設を最大限稼動させて(満室化)、売上、利益を増加させる一方で、経費を節減させてその原資の増加を図ることが必要です。
人事労務面の工夫としては、以下のことが考えられます。
1.間接部門のコストを下げる(外注化できる業務について)
2.パート、アルバイトの活用、戦力化(単に時間給、交通費のみの支給とせず、刺激的手当てを創設し、役職にもつけ、意欲を高める)
3.高賃金、低能率の職員のは以上(単に人員整理を行うのではなく、年齢が上がれば賃金も上がる年功序列制度の見直し、賞与配分方法の見直し等を行う。)
4.各職場の人間関係の重視(有能な職員の無用な退職の防止)
5.職員のスキルアップ(OJTの向上、各種資格取得を奨励する)
6.正しい、納得の得られる人事評価の実施
7.地域のボランティアを募集
8.業務推進、改善のための提案を積極的にさせる
Q6
「てんかん」を患う職員の取扱い
A6
てんかんの発作をときどき起すとのことです。現在では医学の発展により、常用すればその発作を抑えられる薬があるとのことですが、ドクターに聞かれたら如何でしょうか。しかしその方策がないとすると困ったことで、本人の業務遂行に支障が出るようでしたら解雇せざるを得ないかと思います。(一般的にてんかんは私病とされます。)
貴所の就業規則にも解雇条項として「心身の障害により、業務に耐えられないとき」が記載されています。勿論、「限られた業務」につくことが可能で、貴所にその業務があり、貴所としてその人の就労を認められるなら雇用の継続はされたらよいと思います。要は現在の状態で本人の就労場所があるか否かです。なければ前文の通りです。治療方法の検討も必要です。