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リスクマネジメントコラム
第118回 利用者・家族とのコミュニケーション~コミュニケーションの種類~

【1回目】

介護現場において、利用者・家族との適切なコミュニケーションをとることは、安全で質の高い介護を提供する上で不可欠です。利用者・家族とのコミュニケーションにかかわる基礎知識を4回シリーズでお届けします。

私たちは、毎日さまざまなコミュニケーションを行っています。コミュニケーションの目的や種類を整理すると、課題が見えやすくなり、改善につながります。

■コミュニケーションの目的
「コミュニケーション」は大まかに分けると、次の2つの目的で行われます。ひとつは、情報や知識を伝えあったり、あるいは問題解決をしたりする目的で行うコミュニケーション(情報伝達)です。もうひとつは、相手との親しい関係を維持したりすることを目的とするコミュニケーション(情緒共有) です。後者では、伝える中味より、会話すること自体や伝え方が重視されます。
介護職員と利用者・家族との間では、「情報伝達」を目的としてコミュニケーションを行う場面もありますし、「情緒共有」が主要な目的となる場面もあるでしょう。

■言語・非言語コミュニケーション
コミュニケーションは大きく言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションとに分類できます。
言語コミュニケーションは、文字どおり「言葉(言語)」によるコミュニケーションで、話し言葉や文字によって伝えられます。
一方、非言語コミュニケーションは、身振りや表情、姿勢、視線、服装、図や絵など、言葉以外のものによるコミュニケーションです。確かに、言葉で「楽しい」と言わなくても、表情から楽しい気持ちだということが伝わることがあります。介護スタッフが「ユニフォーム」を着ることは、自分が介護サービスの提供者であることを非言語的に表現していることになります。
また、声の高さ、間合い、速さなど言葉に付随する要素も、非言語コミュニケーションの一部で、「準言語」と呼ばれています。言葉の内容だけでは表せないさまざまなニュアンスや気持ちを伝えます。たとえば、「すみません」という言葉は同じでも、その言い方(声の調子)によって、心から謝罪していると伝わることもあるし、逆に、まったく反省の気持ちはなく皮肉で言っていると伝わることもあるかもしれません。

■コミュニケーションの種類と特徴
コミュニケーションの種類による特徴を理解しておくと、これらを上手に使うのに役立ちます。
まず、情報を正確に伝えるのには言語コミュニケーションが便利です。「明日○時までに、○○の申請書を△△に出してください」ということを、言葉を使わずに身振り手振りだけで伝えるのはなかなか難しいと思います。
一方、私たちは、人の表情を見て、その人の悲しみや喜びをひしひしと感じることがあります。非言語コミュニケーションは感情を伝えることに優れています。ただし、非言語コミュニケーションには明確なルールがないため、涙を流している人を見てとても悲しいのだろうと思ったら、実は嬉し涙だった、というように必ずしも正確に伝わるわけではない点には注意が必要です。

(次号第2回に続く)